VOL.31 1996年12月3日 成都
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雨の成都
成都に着いた。
雨が少し降っている。僕が中国に入ってから、雨が降るのは初めてのことだ。
ほこりっぽくないので、喉が痛い今の僕には都合がいい。
どこにいったのか分からなくなっていたリップクリームも、カバンのポケットから見つかって、唇がすごく楽になった。
だけど、中国では雨がフルと、道路はさらに汚く、ドロドロになる。
不親切なおばさん
成都の16路のバスの切符売りのおばさんは、とても不親切だった。降りる駅を伝えて、教えて欲しいとお願いして、わかった、わかったと首を縦に振っていたのに、何も教えてくれなかった。僕が、ここじゃないのか、と聞いても、早口の中国語で返すだけで、ジェスチャーさえもしてくれない。何を言っているのかも分からないし、YESなのかNOなのかも分からない。
結局、一か八かで降りてみたら、目当てのバス停だった。よかったのはよかったのだが、あのおばさんはなぜああいう態度を取ったのか、気持ち悪さだけが残った。人間不信になる。
日本人との再会⋯⋯だけど感動はもうない
成都の宿に選んだ交通飯店は、3人部屋で50元だった。地球の歩き方では40元となっていたが、値上がりしたようだ。
僕が案内された部屋には、先に泊まっていた日本人がいた。その人は西安の勝利飯店で1日だけ一緒に夕食を食べたムラウチさんだった。
再会を喜んだものの、こういったことは珍しくなくなってきていた。これからもたくさんあるだろう。偶然にも、日本人に会うのも、慣れてきた。そういった意味での感動はなくなったと言っていい。
あと3日もすれば、僕が日本を出てから1ヶ月になる。
いつまでもキョロキョロ、オドオドしているわけにはいかない。
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