【中国8】雑多な街・北京出ていく

 VOL.25 1996年11月27日 北京

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最後の北京

朝9時30分にチェックアウトして、隣にあるマクドナルドで日記や手紙を書いた。

でもあまりに早くチェックアウトしすぎたようで、列車が出発する18時までの時間を持て余した。マクドナルドにずっといるわけにもいかず、かといってホテルにも戻れない。

仕方なく、北京西駅へ少し早めに行くことにした。

14番のバスで和平門まで行き、そこから地下鉄で復興門まで乗り、さらに52番のバスで北京西駅に到着する予定だ。しかし、いざバス停に行ってみると、40番なら北京西駅まで直通で行けるという情報が手に入った。

ただし、40番のバスは16時20分まで便がない。

市バス一本で行ける容易さと、安さの誘惑に負け、僕は夕方まで待つことを選択した。

今日は風こそ強くないが、昨日に負けず劣らず、とても寒かった。

僕は昨日まで歩き回った北京の街を最後にまた歩いた。もう目新しいものには出会わなかった。

スケッチ〜北京の印象〜

北京は雑踏の街だ。とてもごみごみしていて、歩くだけで疲れてしまう。
朝空が白み始める前から、夜の闇に再び包まれてしまうまで、人と車と自転車が死闘を続けている。北京を歩くということは、間違いなくその死闘に参加することを意味する。
ただその死闘を楽しむことも可能だ。
リキシャ群の中を縫うようにすり抜け、クラクションを目いっぱい鳴らすタクシーの前を悠々と横切り、横で歩いているおっさんが吐いた痰を風の向きを計算しながらかわす。
たどり着いたバス停ではバスを待つ間焼き芋をほおばる。
バスには満員で乗れなくなる前に、ダッシュで乗り込み、足の位置を1cmも動かすことが出来ない状態で、20分揺られる。
地下鉄の駅に着くと、激流に流される木の葉のごとく、人の波にのまれバスから降りる。
中国人たちは大きな声で怒鳴り、笑う。日本人だと分かると、皆好奇心が一気にふくらみ、意味の分からぬ中国語をまくしたててくる。
寒くて乾燥しきった街にはほこりが舞う。北京は雑踏とほこりの街だ。

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