【中国5】中国のシンボル、壮大な石の壁 万里の長城を歩く

目次

VOL.22 1996年11月23日 北京

万里の長城 往路

万里の長城へ行ってきた。

日曜日は避けたかったが、タカムラさんが行くというので、一人では不安があった僕は、一緒に行くことにした。

バスは高いので列車で行くことにした。

ちなみに、中国では列車のことを「火車」と表す。バスのことを「汽車」と表す。

バスだと片道11元だが、列車だと3.5元で行けてしまう。その差は7.5、往復となると15元。この差は中国では大きい。いろんな贅沢が出来る。

ただ列車の便は少なくて、不便ではある。

北京北駅の切符売り場は7時30分から行列ができていた。時刻表で調べると、万里の長城観光の起点となる八達領駅は8時10分発だった。

窓口は閉まっていたりして、僕たちは不安だった。念の為、僕たちの後ろに並んでいる中国人の若い夫婦に訊ねると、彼らも長城へ行くというので、少し安心した。

8時過ぎになってようやく切符を手に入れることができた。

『79次八達領』の切符を買ったはずだが、渡された切符には『75次青龍橋』になっていた。訳が分からなかったが、後ろの若夫婦も同じ切符のようなので、ついていくことにした。

列車は8時30分に出発した。

列車は自転車を少し強めに走らせたくらいのスピードで、2時間走った。

途中、車窓から長城が見え、僕は世界的に有名な人造物に少なからず興奮した。

どこまでも続く石の

駅に着き、15分ほど歩くと、日本の観光地とは全く同じようなお土産物売場が道の両脇に並ぶ。その通りを抜けると、長城の入口になる。

長城の入場料は、外国人30元、中国人15元。

長城は人がいっぱいだった。僕たちは2つに別れた道をひたすら右に進んだ。さすがに規模は普通ではない。匈奴の侵入を防ぐためにしては、いささか大げさ過ぎる気もしたが、これが中国人のやり方なんだろう。やることが豪快とも言える。

今の時期はシーズンオフだと聞いていたが、長城には国際色豊かな観光客が多く来ていて、せっかくバカでかい長城に来ているのに、人混み身動きがとりにくかった。

長城はどこまでも続く。世界的にもすごく大きいものなんだろうけど、人が観光でちょっと寄った程度では、その大きさの本当の価値を肌で感じることは難しい。数千キロに及ぶと聞いたが、できすぎるということだ。果てしなく続く長城を見て、その先の光景は想像するしかない。歩いて到達できるレベルではない。

ロープウェイの駅を過ぎると、人は極端に少なくなった。

僕たちは来た道を引き返すのもアホらしい気がして、さらに進み、ショートカットして戻ることにした。

ふと動物園のようなところに着いた。しかし全然人の姿もない。

なぜか熊ばかりが100頭近くいる。一種類だけではく、5〜6種類はいたのではないだろうか。

寒そうにして、なんだかみすぼらしく、かわいそうに思えた。

熊の手を食べるために飼っているんじゃないだろうか。

そう思えるほど、人がいないところにたくさんの熊がいるのは異様だった。

一般道に出て、振り返って見ると『八達領熊楽園』と書かれた看板がかけられていた。

万里の長城 復路

13時半ごろ、帰りの駅へ向かうが、行きとは異なり、駅にいるのは僕たちだけだった。なぜだか分からなかったが、他の人たちは皆バスで帰るようだ。

それは駅に着いて謎が解けた。次の便は15時までないのだ。

1時間以上も待つことになる。

15時を過ぎても、列車は来ないし、切符が売り出される様子もない。駅には乗客らしき人は誰もいない。

列車が遅れるのは毎度のことなのだが、さすがに不安になる。

服務員に訊ねると、この駅には止まらない、となりの駅に15時40分発の列車があるという。

僕たちはとなりの駅へ向かった。道が分からないので、線路をひたすら歩いた。線路はゴミだらけだし、おそらく糞尿も撒き散らされているだろう。そんな線路を40分歩くことになった。

中国の時刻表は全く当てにならない。見方が間違っていたのか、駅の表示さえも古いのか、何が何なのか、全く分からなかったが、ただただ腹が立った。

復路の列車からはまた長城が見えた。

ここまでスケールが大きくなると、実際に歩いて感じるよりは、列車や飛行機から見る方がスケールを感じることができる。

羊のしゃぶしゃぶを堪能する

かなりの時間と労力を費やして、僕たちは15元の節約に成功した。

この15元で僕たちはごちそうを食べることにした。前門の近辺にたくさんある「涮羊肉」を食べることにした。羊のしゃぶしゃぶだ。

日本で食べるしゃぶしゃぶと変わらなく、肉が羊なだけだった。羊の肉は湯に入れると、3分の1くらいに縮む。好みなのかもしれないが、圧倒的に豚の方がおいしい。

そしてポン酢がなく、ゴマだれしか出てこないが、そのゴマだれもどろどろしていて、少し塩辛い。

北京では店の看板も羊の肉の方がよく見かける。豚は少ない。

タカムラさんによると、豚は寒さに弱く、大食漢なので、餌代もかかるから、育てるのが大変なのだという。

寒くて貧しい地域では、羊の方がずっと安上がりということだそうだ。

今日一日歩き疲れて、21時には眠りについた。

今日の家計簿

  • 列車 往路3.5元 復路3元
  • スナック 5元
  • ミネラルウォーター2本とビスケット 8.5元
  • 万里の長城入場料 30元
  • ソーセージ 3元
  • 蒸し餃子 3.5元
  • 涮羊肉2人前+ビール2本+はるさめ+米飯2人前=38元
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