VOL.2 いざ、出国
門司港から下関へ
門司港に着き、そのまま下関へ。
関釜フェリーの乗船場には旅行者というより、行商しているようなおばちゃんが多い。僕の前に座っているおばちゃんは韓国人のようだが、会話の中に日本語も混じっている。そのおばちゃんだけでなく、ほかのおばちゃんの言葉にも韓国語の中に日本語が混じっていて、それが自然のようだった。下関と釜山を結ぶ船には両方の国で使われている言葉を操ることができる人が集まるのだろう。
いよいよ出国
船に乗り込み、とうとう日本を離れた。いよいよだ。
2等の大部屋には、韓国人ばかりだった。隣の場所をキープしているソンくんという25歳の青年が、いきなり韓国語で話しかけてきた。僕は少しうろたえ、「JAPAN」と言った。
意味が通じたのか、よく分かっていないのか、判別に困る反応ではあったが、とにかく彼は話しかけるのをやめて、ゲームに熱中しだした。
風呂場で湯に浸かっていると、ソンくんがやってきて、また話しかけてきた。今度は少しの日本語も駆使してくれたので、ようやく会話になった。彼は日本のアニメが好きらしく、僕の知らないアニメの話を熱心にしてくれた。お互いの言葉もままならず、話題にしてくれたアニメのこともよく知らない。会話は盛り上がるはずもなく、申し訳なく、ただ聞くだけしかできなかった。
船はよく揺れた。
風呂から上がり、本を読んでいると酔いそうだった。船員の話によると、対馬と韓国の間は、波と風の向きが逆になっているらしく、もっともっと揺れるとのことだった。
窓から外を見ると、暗闇の中、波しぶきを上げながら船が進んでいるのが分かる。水の上を進んでいるを認識すると、不思議な気持ちになる。
海を行き止まりととらえるか、大きな道だととらえるかで、見える世界は大きく変わる。今まさに、大きな道を進んで、島国の日本から出ようとしている。わくわくは止まらない。
早いところ、寝たほうがよさそうだ。ただ、船を待つ間、ビールを飲んで、昼寝をしてしまったので、果たして寝られるだろうか。今はまだ、20時前だ。
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